2008年3月28日
アパートだと、ベランダがなくて、
洗濯物を干すのには、窓の横から出ているアームに竿をかけて
って物件ありますよね。 こんなやつ → →
これでもし、
洗濯物を干していたとき、
入居者さんが窓から転落して死んでしまったら・・・・
入居者さんの不注意で済む問題? それとも大家さんの責任??
そんな判例がありますのでご紹介します。
<概要>
事故があった賃貸物件は、
縦割式木造2階建共同住宅(昭和48年新築・築29年)。
1棟の建物が内部で2戸に区切られたテラスハウスのような物件。
2階の窓の外に伸縮(蛇腹)式の竿受けがあり、
それに竿をかけて洗濯物を干すような構造でした。
その1室を平成12年10月に賃借したAさん。
入居して2年後の平成14年11月、
Aの奥様Bが洗濯物を干す際、誤って2階の窓から転落。
病院に運ばれたものの、10日後に死亡してしましました。
Aさんは、
「妻Bが窓から転落したのは、
アパートの窓に手すり、柵または金網等が
設置されていなかったことにある!」
と、賃貸人である建物所有者Xに対し、
土地の工作物設置の瑕疵(民法717条)として、
総額約4280万円の損害賠償を求めて提訴しました。
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一方の大家さんXは、
「物干しは土地の工作物ではない!」
「仮に工作物であるとしても、設置に瑕疵はない!!」
と争いました。
| 民法717条(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任) | |
| 1. | 土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。 |
| 2. | 前項の規定は、竹木の栽植又は支持に瑕疵がある場合について準用する。 |
| 3. | 前2項の場合において、損害の原因について他にその責任を負う者があるときは、占有者又は所有者は、その者に対して求償権を行使することができる。 |
<第一審>福岡地裁小倉支部 平成18年2月10日判決
「Xの共同住宅は同じ構造の物干しで30年間賃貸して、その間事故もなく、
Aも入居後2年余りはこの物干しを使用していた。
Aが入居後、Xに物干しの改善等を要請した事実は認められない」 として、
「本件物干しは土地の工作物ではあるが、
窓の腰高が73cmあり、建築基準法や条例等の法規に抵触していない。
通常の注意を払えば転落することはないから、その設置・保存に瑕疵はない。」
とAの請求を棄却しました。
納得いかないAさん。
「Bが窓から乗り出したのは、洗濯物干し竿受けが普通は伸縮するところ、
錆びて伸びたままになっていたせいだ!」
「これを放置したのは大家さんの責任!」
と控訴しました。
<控訴審>福岡高裁 平成19年3月20日判決・判例時報1986号
「窓の腰高73cmを瑕疵と見ることはできない。」 が、
「本件では窓の外に設置された物干し竿受けが錆びて本来の伸縮機能を失っていたことから、
洗濯物を干すためには、窓からある程度外に身を乗り出す姿勢を取ることになる。」
「一定の危険性があったことは否めず、窓の外に手すり等を設置して転落防止を備えるべきであった。」
と、本件窓の設置・保存の瑕疵を認定し、土地工作物責任を肯定。
但し、
「過去30年間同一の構造の物干しで事故はなかったし、A・Bも2年余使用していた。」ので、
「通常の注意を払えば転落することはなかった。」
また、
「A・Bは竿受けの不具合の修理・調整をすることもなく、
Xに対して不具合や危険性を訴えることはなかった。」 として、
Bにも重大な過失があったことは否定できず、90%の過失相殺。
大家さんXには、残り10%分と弁護士費用の合計約351万円の賠償を命じました。
窓の安全性は、
それ自体が腰高73cmで問題なくとも、
窓がどのような使われ方をするのかも考慮すべきとしました。
建物の瑕疵について、参考にしてください。




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