2008年6月12日
中古の収益アパートを買ったのはいいけれど、
借主さんのひとりが前所有者の息子夫婦。
その部屋だけ賃料が他と比べて異様に安い・・・ ( ̄~ ̄;)
そりゃ、大家さんにとっては赤の他人。
何の恩義もない一賃借人さんですから、納得いかない賃料設定。
通常金額までアップしたい (*`ε´*)ノ!!
と思うのはごもっとも。
さて、そんな賃料増額請求ですが、
借地借家法では次のように規定しています。
| 第32条 (借賃増減請求権) |
| 建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。 |
冒頭の状況は、土地の価格上昇というわけでなし。
"経済事情の変動" とは言えなそうです。
では、
"不相当となった" からと
賃料増額請求ができるのでしょうか?
できるとしたなら、
いくらが相当とされるのでしょうか??
事業用賃貸ビルではありますが、
参考となる判例がありますので、簡単にご紹介します。
建物賃料改定請求控訴事件
(平成18年11月30日判決 東京高裁平18(ネ)第2098号 判例タイムズ1257号314頁)
借地借家法32条1項に基づき賃料増額請求をした賃貸人Xが、
賃借人Y1社・Y2社に賃料額の確認を求めた事件
建物の元所有者A社の代表と、賃借人Y1社の代表は親子であったため、
その賃料は、適正な賃料の半分ほどと著しく低額でした。
Y1社はパチンコ店で、Y2社はその景品交換所です。
建物の新所有者となった賃貸人Xが賃料増額請求しました。
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判決は、原判決(東京地裁平成18年3月17日判決)の判示を相当としました。
賃料増額請求の要件は---------------------------
『本件賃貸借の賃料が著しく低額に定められているのは、親子という特殊な事情によるもの』
と認定し、
『その特殊事情が、
譲渡(売却)に伴う賃貸人の地位の移転により消滅したことは明らかであるところ、
借地借家法第32条1項は、
従前の賃料が客観的に不相当となったときに、
公平の観念から、改定を求める当事者に一方的意思表示により、
従前の賃料を将来に向かって
客観的に相当な金額に改定することを定める規定であり、
その趣旨からすれば、同項が定める事情の変更は例示に過ぎず、
前記のような特殊事情の変更であっても、
賃料増減額請求をするための要件と解すべきである。』
としました。
賃料増額を請求するには、
経済事情の変動とか、近隣と比較してという社会的事情の変更だけでなく、
当事者間の主観的個人的な事情の変更が理由でも要件となります!
"親戚関係、友人関係というものがなくなった (ー_ー )ノ ヾ( --) "
ということでもOK!
相当賃料額は-----------------------------------
まずは、賃料増額請求時点の適正な賃料額を、"積算法"と"賃貸事例比較法"に基づいて算定。
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Y1 |
3,625,748円 |
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Y2 |
120,231円 |
これと比較すると、今までの賃料は、
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Y1 |
44.01% |
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Y2 |
48.32% |
市場価格と比べればなんとも低額、半額以下・・・ ヾ(^∇^;)
とはいえ・・・・
『従前の賃料額と適正な実質賃料との間に倍以上の大きな乖離が存在するが、
賃貸人と賃借人間の個人的な特殊事情が消滅したとはいえ、
直ちに賃料額を一般的な水準にまで増額させるのは相当でなく、
公平の観念から、その中庸値をもって相当賃料額と認めるのが相当である』
今までの賃料がどんなに低額であったとしても、それは当事者間で合意されたもの。
無視することはできないので、真ん中を相当賃料としました。
| 従前賃料 + 適正な実質賃料 | ||
| 相当賃料 | = | ―――――――――――――――― |
| 2 | ||
ただし、これは賃料の話。
特殊事情により、賃料とともに低額になっていた共益費については、
『特殊事情が消滅した以上、賃料増額請求によって相当額まで増額させるのが相当』
『共益費費は、賃料と比べて実費負担的要素が強いことからすれば、
他の賃借人が負担している額までこれを増額させるのが相当』
共益費の場合はあいだを取るのではなく、一気に他の賃借人と同じ負担レベルとしました。
賃料増減額請求権は、
一度定められた賃料を、その後の事情変更を理由に、
賃貸人と賃借人間の公平を図りつつ、
相当額に変更することを認める制度。
参考にしてください。




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